【イージスアショアとは】イージス艦増強のみでは多層化できない!

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『AEGISシステムが「BMDへの万能の盾」となるために必要なこと!』

イージスアショアの導入をめぐって、近年の緊張緩和などで導入を疑問視する声が出ています。

また、日本では「イージス艦」が8艦まで増強されていきます。

この時、なぜ「イージスアショア」導入が必要なのか?イージス艦増強だけではだめなのか?

前回記事で不足していた部分を解説してみたいと思います。

関連項目としてこちらもご覧ください。

【イージスアショア】弾道ミサイル防衛で断固として導入せよ!

2018.07.25

【海上自衛隊】イージス艦はトウモロコシ畑から生まれた?!

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「イージスアショア」と「イージス艦」のコンセプト・任務を再確認!

BMDにて、今一番関係者と国民の認識のずれがある部分を考えてみると

  • 「イージスアショア」
  • 「イージス艦」

この2つについて、弾道ミサイル防衛(BMD)にて任務が重複していると誤解されている部分です。

確かに「イージスアショア」と「イージス艦」どちらも「AEGISシステム」を使用しています。

しかし両者には、コンセプト(概念)・任務内容に大きな違いがあります。

まずは、この部分を整理してみましょう。

イージスアショアのコンセプト・任務は「弾道ミサイル防衛」

図1 イージスアショア(ルーマニアの施設)
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引用URL:https://i.ytimg.com/vi/pXMig5ym0HU/maxresdefault.jpg

最初に「イージスアショア」のコンセプト・任務としては、

『弾道ミサイルなどの脅威から、陸上地域の防空態勢を行う』

これが「イージスアショア」のコンセプト・任務です。

その手段の一環として、BMD対処能力のある「AEGISシステム」を陸上に設置したのが、「イージスアショア」です。

1990年代以降、弾道ミサイル技術が世界に拡散して不安定な情勢が発生したことに対するコンセプトとして登場しました。

イージス艦の任務は「複合脅威に対する艦隊防空+BMD」

図2 イージス艦(CG-47DDG-51)
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引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/

イージス艦は「タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦」「アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦」が登場しています。

これら「イージス艦」の開発当初(1960~70年代)のコンセプト・任務は、

『ソ連による「爆撃機+ECM+ASM+潜水艦+USM」の複合脅威に対する艦隊防空』

となっておりました。

冷戦終結後に、『AEGISシステム』の発展性を見越した世界情勢の変化により、

『弾道ミサイル防衛(BMD)、巡航ミサイル防御の中核』

という、追加されたコンセプト・任務が与えられました。

イージス艦は、最初からBMD対処するわけではなく冷戦終結後の新たな任務付与であり、本質は『艦隊防空艦』です。

日本におけるBMDのイージス艦の位置付け

日本でのBMDにおけるイージス艦の位置づけは、「PAC3」と共に迎撃の中核となっています。

図3 BMD整備運用構想(イージスアショア導入前)
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引用URL:http://www.mod.go.jp/j/approach/defense/bmd/images/main02.jpg

イージス艦が「重要目標艦(HVU)」となってしまった。

日本においては、6隻が整備され将来的には8隻の「イージス艦」が導入されます。

しかし、日本において「イージス艦」は、『艦隊防空の量産型駆逐艦』から、1500億円以上の費用をかけた「高価値艦(HVU)」となってしまいました。

BMD対処中は周辺艦の防護が必要になった。

現在の「SPY-1D」では、BMD対処中に他の目標探知撃墜などの任務が困難になっています。
(技術的基礎は1960年年代の物であり、レーダーリソースが不足する。)

そのため、19DD(あきづき型護衛艦)による「周辺防護」が必要になっています。

図4 19Dの運用構想(政策評価調書から)
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引用URL:http://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/results/18/jizen/sankou/01.pdf

本来「守るための艦」が、BMD対処では「守られる側」になっています。

また、BMD対処のため「イージス艦」を常時展開となると、本来任務の「護衛隊群の防空任務」がおろそかになってきます。

BMDの多層化として「イージスアショア」を「トレード・オフ」で選択

元々日本のBMD構想は、「イージス艦+PAC3」の2層防衛で「守りが薄い」ところがありました。

そのため、「AEGISシステム」の「トレード・オフ」の思想にて、

  • 『弾道ミサイル防衛用の「イージスアショア」』
  • 『艦隊防空など多用途の「イージス艦」』

という2つの目的分離にて、BMDの多層化が実現します。

「イージス艦」「イージスアショア」共に、メリット・デメリットが存在します。

「イージス艦」のデメリットを『補う』形で、「イージスアショア」の導入が最善なのです。

「プラットフォーム中心主義」を捨て去る発想が必要!

BMD構想では、「目に見えた装備」に目が行きがちです。

図5 DDG-179「まや」進水式

しかしながら、技術的進化は絶え間なく続いています。

「プラットフォーム(としてのイージス艦)」にこだわり続けると、新たな脅威への対応が難しくなります。
(「ロフテッド軌道」の弾道ミサイルなど)

あくまで「イージス艦」「イージスアショア」も、「センサー・シューター」として考える時代になってきています。

「NCW(Network-Centric-Warfare)」(ネットワーク中心の戦い)

今後、戦闘の優越を決めるのは「NCW」にかかってきます。

図6 NCWの一つ(統合戦術データリンク)
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引用URL:http://www.mod.go.jp/trdi/org/pdf/27yosan.pdf

「イージスアショア」も「イージス艦」も、「NCW」を生かしていくための装備です。

「イージスアショア」の導入により、「イージス艦」の任務の自由度が増えるメリットがあります。

BMDは、「イージス艦」に「イージスアショア」が加わり、より選択肢が増えるといってよいでしょう。

単に、「イージス艦」を増強して今後30年維持整備していくよりは、「イージスアショア」のほうが安上がりなのです!

(艦艇開発隊で叩き込まれた「イージスシステム」の知識は、かなりの財産になりました)

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1 個のコメント

  • お待ちしておりました
    艦隊防空艦の筈のイージスがその他の任務に駆り出されるのはあまり良くないのは当然といえば当然です罠
    アメリカよろしくほぼイージスで固める選択肢も有りますが当のアメリカでさえお値段高騰しすぎて
    諸々ネタになってるLCS量産とかペリー級現役復帰とかに舵切りつつあるのが何ともはや

    それと追記になりますが、先日返信頂いた基地の諸々陸自に丸投げする案件、直後に海自・空自、地上任務の一部を
    陸自に移管する方向で検討との報道がでて驚愕しております(汗
    護衛艦定数が増えるとはいえ必要人員減らした上でミサイル艇と掃海艇削った上での話と思っていましたが
    ここまでして艦艇乗員増やすとなると中の危機感は一体どうなっていることやら……
    一般人としては雲を掴むような話では有りますがここまで艦艇揃えるとなると
    30FFMの影でひっそり出ていた将来三胴船コンセプト辺りも
    従来型掃海艇(艦)の更新向けに本格的に検討されてる感じ何ですかね之

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